ハードウェアと関連技術

ハードウェアと関連技術

本ページでは開発中の量子コンピュータと関連する技術や次世代マシンのうち一般に利用可能なものを中心に紹介します。

量子コンピュータ (ゲート型) #

IBM Q #

IBM Q 世界初、無料で誰でも使える量子コンピュータとして公開されています。 5 量子ビット (ibmqx2) および 16 量子ビット (ibmqx3 (ベータ版)) のマシンが利用可能で、ブラウザ上で量子ゲート回路の構築から実行まで行えます。また、通常のコンピュータによるシミュレーションも実行でき、実際のマシンと結果を比較することも出来ます。 量子回路の構築から実行まで行える SDK などが GitHub で公開されおり、ソフトウェア環境も充実しつつあります。

量子コンピュータ (アニーリング型) #

D-Wave 2000Q #

D-Wave 2000Q

2011年に世界初商用量子コンピュータとして発表された D-Wave のマシンは、2017年現在 D-Wave 2000Q にて 2048 量子ビットまで拡張されています。
顧客はクラウド経由でマシンの実行が可能で、WEB での GUI 操作の他に C/C++/Python/MATLAB から利用できる API が用意されています。また、問題を量子コンピュータ向けに変換したり、問題を分割するユーティリティなどが含まれる SDK が提供されます。
ドキュメントやソフトウェアなどの周辺環境はかなり整備されている印象です。


量子シミュレータ #

Microsoft LIQUi| #

Microsoft LIQUi

Microsoft Research によって開発された量子シミュレータです。
量子ゲート回路に基づいた量子アルゴリズム、量子エラー訂正のシミュレーションだけでなく、ハミルトニアンモードでは量子アニーリングや一部の量子物理学・量子化学のシミュレーションも行えるようになっており、科学技術計算での活用も意識しているようです。
シミュレータはマルチプラットフォームで動作し、ユーザは F# スクリプトを書くことでシミュレータの持つ機能が全て実行できます。また F#, C# などの .NET 言語から呼び出せる API も提供しています。


アニーリング型次世代専用マシン #

日立製作所 CMOSアニーリングマシン #

CMOSアニーリングマシン

CMOSアニーリングマシンは、主に組合せ最適化問題と呼ばれるタイプの計算問題を効率よく解くための専用計算機です。 様々な種類の組合せ最適化問題を統一的に扱うために、イジングモデルと呼ばれる統計力学の分野で用いられてきた数理モデルを使って解きたい問題を記述します。その上で、イジングモデルの計算に特化したハードウェアを用いることで問題を効率的に解くことができます。

イジングモデルの計算に適したハードウェアとしてはいくつかの方式が国内外で開発されていますが、CMOSアニーリングマシンは広く使われている半導体技術であるCMOS集積回路技術を活かすことで低消費電力、高いスケーラビリティ、搭載機器の小型化といったメリットを実現しています。

CMOSアニーリングマシンとしては2種類の実装があります。

(1)FPGA版
1回のアニーリングで9,216スピン(96×96のKing’s Graphに相当)を処理可能

(2)ASIC版
1回のアニーリングで61,952スピン(352×176のKing’s Graphに相当)を処理可能

プレスリリース
組合せ最適化問題に特化したクラウド型計算サービスの無償提供を開始


NII QNNcloud #

QNNcloud

光を用いたネットワークによる組合せ最適化問題に特化した専用マシンです。
縮退光パラメトリック発振器の発信基底によってビットを表現し、光ネットワークの相互作用係数がビット間の結合を実現します。これにより 2048 ビットの全結合のイジング模型を扱うことが出来ます。
クラウド体験サイトでは 16 ビットまで扱えるシミュレータと、実機による 2000 ビットまでの MAX-CUT 問題を体験できます。
現在のところ問題の入力はできず、ランダムに生成される問題の乱数シードを指定できるのみですが、将来的に SDK など公開されることが期待されます。


富士通 デジタルアニーラ #

デジタルアニーラ

従来の半導体技術による組合せ最適化問題に特化した専用マシンです。
D-Wave の量子アニーリングマシンと同様にイジング模型を入力としながら、1024 ビットが全結合するハードウェア構造になっているため、多様な問題に対応しやすいと言われています。
人工知能「Zinrai(ジンライ)」のクラウドサービスのディープラーニングのオプションとして 2017年中に提供が予定されています。

プレスリリース
組合せ最適化手法の実問題適用を容易にする技術を開発

Calendar 2017-09-05