MCPCで実施した量子コンピュータの実証実験の成果報告

概要

フィックスターズは、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)が2019年10月から2020年3月にかけて実施した「量子コンピュータの産業応用実装に向けた実証実験」にプロジェクトメンバー9社の1社として参加しました。今回その成果報告がMCPCより発表されましたので紹介します。

実証実験について

実証実験は、ワーキンググループ顧問の慶應義塾大学理工学部物理情報工学科 田中宗准教授(兼 早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構客員主任研究員)の全体監修のもと、プロジェクトメンバー9社(株式会社KDDI総合研究所、住友商事株式会社、株式会社野村総合研究所(NRI)、株式会社Jij、株式会社フィックスターズ、株式会社Quemix、株式会社日立製作所、日本電気株式会社(NEC)、富士通株式会社)で行われました。今回は3つの社会課題解決をテーマとしたアニーリングマシン活用に向けた有効性検証の実験を行い、実運用の可能性を確認しました。

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​図. 実証実験プロジェクトの社会課題とチーム編成。出展:MCPC研究成果報告

物流センタにおけるタスクと人員配置の最適化

弊社は住友商事様、NEC様と共に、通販系物流センターでの最適な作業の割振りを行うための人員配置最適化に取り組みました。
物流センタ内のタスク種別、作業者数、作業レベルを定量化し、各タスクの充足率の最大化と均等化を実現する多目的最適化問題の定式化を行いました。その結果、量子アニーリング D-Wave 2000Q とフィックスターズで開発中のGPUアニーリングマシンにより理想的な人員配置を用いることで、過去の作業実績と比較して20-30%程度の効率改善、つまり、全体での作業時間の低減の可能性を確認することができました。
今後は、作業スキル見積などのパラメータ定量化やデータ取得法の改良、及び現場ニーズの照合を行うことで現場プロセスへの落とし込みをおこない実用化を図っていく予定です。

MCPCの今後の取組

MCPCでは今回の実証実験の成果を踏まえ、アニーリングマシンの有効な活用技術の普及促進に受けて、以下の取組を計画しています。

  • 今回の社会課題の進化系に関する有効性確認プロジェクトを継続する。
  • 今回の成果を広く産業界に普及させていく取組として、成果発表を含めたセミナーを開催する。
  • アニーリングマシン向け定式化やプログラミングを容易にするフレームワークを活用し、量子コンピューティングのスキルを有する「量子ICTネイティブ」人材育成に貢献する。

フィックスターズの取組

今回実証実験に参加させていただき、実際の社会課題への取組が出来たのは非常に有益でした。課題の捉え方や実際の取組へ落とし込みためのポイントなど、今後の実用化を考えるうえでの気づきを多く得られました。
また、MCPCが今後の取組で計画されているフレームワークの活用や「量子ICTネイティブ」人材育成についても、弊社がここ数年取り組んでいることと同じ方向を向いています。
フレームワークについては、国⽴研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実施するプロジェクトの1つ「イジングマシン共通ソフトウェア基盤の研究開発」でミドルウェアの開発に取り組んでいます。量子アニーリングマシンを始めとするさまざまなイジングマシンを簡単に使えるための共通ソフトウェア基盤の開発を進めています。また、このミドルウェアと共に弊社でもGPUアニーリングマシンの開発も進めており、より手軽に多くのエンジニアが量子コンピューティングを始められる環境の提供を目指しています。
また、人材育成については、情報処理推進機構(IPA)様と共に、IPA未踏ターゲット事業のテクニカルアドバイザやセミナー講師などの啓蒙活動で貢献しています。2020年度も3年連続で、弊社エンジニアの松田が参加させて頂いています。

今後も「量子コンピューティングの今を前に進める」ことに取り組んでいきます。

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